Amazonプライムで見た、日本映画「あんのこと」

日本ドラマ・映画

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『あんのこと』は、2024年6月7日に公開された日本映画で、監督・脚本を務めたのは『SR サイタマノラッパー』『AI崩壊』などで知られる入江悠氏、主演は社会派ドラマからファンタジー作品まで幅広く活躍する河合優実さんです。PG12指定の本作は、2020年に新聞三面記事として掲載された少女の実話をベースに、少女が社会に見いだされず孤立しながらも“生きようとする”姿を鮮烈に映し出します

キャストにも実力派がそろい、佐藤二朗演じる型破りな刑事・多々羅保、稲垣吾郎演じる正義感の強い週刊誌記者・桐野達樹らが脇を支え、重厚な演技で観客を揺さぶります 。


過酷な幼少期から覚醒剤依存へ――杏(あん)の人生

幼少期から虐待と貧困が根深く染みつく主人公・香川杏(あん)。母親・春海から暴力を受け、小学校4年生で不登校、12歳で売春を強要され、14歳で覚醒剤に手を伸ばすという壮絶な人生の始まりです。21歳の彼女は、母と足の不自由な祖母を支えるためだけに日々を費やし、社会から完全に孤立していました

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その後、覚醒剤使用容疑で逮捕された杏は、型破りな刑事・多々羅保と出会います。“何の見返りも求めず”、杏を受け入れ、漢字から就職支援まで手厚く支える多々羅に、杏は少しずつ心を開いていきます

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再生の希望:更生、自立、そして仕事の獲得

多々羅の支援は単なる更生の一歩ではありません。自助グループへの参加、DV被害者用のシェルターへの入居手配、夜間中学の学び直しなど、社会復帰への具体的ステップを提供します。その一方で、週刊誌記者・桐野はその背景に隠された更なる闇を取材します

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杏は桐野の紹介で老人介護施設に就職し、漢字や算数を学んだ努力が形となって報われます。初めて得た給料で購入した手帳と家族分のケーキというささやかな贈り物は、彼女の内面に芽生えた“家族への愛”や“日常への感謝”を象徴する重要なシーンです

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衝撃的な展開:コロナ禍、その後…

しかし、その矢先に突如襲った新型コロナウイルス感染拡大(2020年)。杏の職場は非正規雇用ゆえに真っ先に人員調整の対象となり、夜間中学も休校。彼女の“居場所”は一気に失われ、孤立と不安の深淵に放り込まれます

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さらに桐野の取材により、多々羅が自助グループの女性参加者に性的関係を強いていた疑惑が浮上。彼が実質的な支援者でありながら同時に加害者であるという裏切りに、杏の心は深く傷つけられます

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驚きと絶望の結末――“希望は消えたのか?”

本作の最大の驚きは、実話モデルである「ハナ」さんのその後です。一部では悲劇的な最期を迎えたという報道があり、「避難先ホテルの非常階段から転落死」や「再依存による自死」の可能性も取りざたされています

映画版では、隣人から託された幼児・隼人との時間が、杏の心に一瞬の希望を灯します。しかし、最終的には母親に引き戻され、薬物に手を染めなおす運命が示唆され、観る者を深い絶望に叩き落とします 。このラストは単なる悲劇以上に、“どうすれば救えたのか?”という問いを強烈に突きつけます

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演技と演出、映像の力

河合優実さんの演技は圧巻です。虐待と依存に蝕まれながらも、わずかな光を見出そうともがく姿がリアルで、共感と痛みを同時に呼び起こします 。

佐藤二朗さんは多々羅という難役を巧みに演じ、支援者でありながら疑念を抱かせる複雑な人物像を体現。稲垣吾郎さんも記者役として、正義と葛藤のはざまで揺れる姿が重厚なドラマを演出しています 。

また、入江悠監督の演出は抑制と緊張感を巧みに織り交ぜ、無音や効果音の使い方も非常に計算されており、杏の内面に寄り添うヴィジュアルが印象的です

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SNSや批評家の反応

Filmarksでは「心が重くなるが、観る価値あり」と高評価。noteやはてなブログでは、手帳に丸をつけながら日々の積み重ねを描写したシーンに感動したという声が多数寄せられています

記者・ジャーナリスト役の桐野と多々羅の関係性、そしてコロナ禍における支援の脆さを描いた展開に、「現在の社会問題を突きつける作品」との評価も見られます


なぜこの映画は“観るべき”なのか?

  • 社会の隙間をえぐる実話ベースの迫力
    コロナ禍の現実、社会的弱者が支援の網からこぼれ落ちていく構造を、リアルに映し出しています

  • 人間の二面性を描く構造
    支援者が加害者になるという衝撃的な構図は、“正しさ”が絶対ではない現実を突きつけます

  • 演技陣の底力
    河合優実さん、佐藤二朗さん、稲垣吾郎さんという重厚なトリオが、物語に深みと説得力を与えています

  • 演出と映像美の融合
    効果音や構図、場面転換の抑制がさらに心の揺れを誘い、観客に疑問を投げかける演出が秀逸です


感想:わずかな希望、しかし重い問い

個人的には、「人は何度でも、変わりたいと願えるのか?」という問いが胸に残りました。手帳に丸を刻む日々、自分のためではなく誰かのために働き、生きる……そんなささやかな光を求めた杏の人生は、そこに寄り添った私たち観客の心にも刻まれます

そして、最後に訪れた絶望。「なぜ、ここで立ち止まらなければならなかったのか?」という疑問は、映画が終わった後も離れません。これこそが本作が投げかける問いであり、私たちが社会に問われていることでもあります。


まとめ:衝撃作『あんのこと』、あなたのそばに

『あんのこと』は、決して「負のドラマ」だけではない――
希望と後悔、支援の光と支援の崩壊、純粋な愛と裏切り……。人間を取り巻く様々な光と影が交錯し、観る者に深い余韻と問いを残します。

実話に着想を得たこの物語は、私たちの社会の「支援の盲点」を浮き彫りにし、「同じような境遇にある人々をどう救えるのか?」という普遍的な問いを突きつけます

ぜひ、あなた自身の目で杏の人生に触れ、その問いに向き合ってみてください

あんのこと
香川杏、21歳。シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り...

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