Amazonプライムで見た、映画「ピエロがお前を嘲笑う」

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『ピエロがお前を嘲笑う』(原題:Who Am I – Kein System ist sicher)は、孤独な天才ハッカー・ベンヤミンが仲間と結成したハッカー集団CLAY(Clowns Laugh At You)によるサイバー犯罪と心理戦を描くサスペンススリラーです。物語はベンヤミンが何者かの仕業で仲間が次々に殺され、自らユーロポールに出頭する場面から始まります。捜査官ハンネ・リンドベルクの尋問を通じて、彼はこれまでの経緯を語り始めますが、その証言には次々と矛盾が表れ、観客も「真実とは何か?」を最後まで問われる展開となります。

ストーリー解説(あらすじ)

物語の始まりで登場するベンヤミン・エンゲル(トム・シリング)

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は、幼少期からいじめに遭い「透明人間」のように扱われてきた孤独な天才ハッカーです。ある日、彼は偶然再会した初恋の同級生マリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)

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のため大学入試の試験問題をハッキングして入手しようとしますが、警備員に見つかり逮捕されます。前科のないベンヤミンは奉仕活動を命じられ、その清掃作業中に一卵性のハッカー仲間でカリスマ的リーダーのマックス(エリアス・ムバレク)

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と出会います。マックスはベンヤミンの才能を見抜き、他の仲間シュテファン(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)、パウル(アントニオ・モノーJr)を紹介します。この4人が集まり、仮面を付けて活動するハッカー集団CLAY(Clowns Laugh At You)が結成されます。

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CLAYは最初、街中の無差別ハッキングなどいたずら的な犯行で注目を集めますが、やがてその手口は過激さを増していきます。彼らはネオナチ集会や大企業の不正を暴露し、やがてインターネットの伝説的ハッカー「MRX」にも認知される存在となります。

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集団はさらに知名度を上げるため、ドイツ連邦情報局(BND)へのハッキングを計画します。ビルのプリンターから「NO SYSTEM IS SAFE」(どんなシステムも安全ではない)の文字を出力させて周囲を驚かせ、MRXを感嘆させます。

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しかし祝杯のクラブで、ベンヤミンは親友マックスがマリにキスしている場面を目撃し、深く傷つきます。

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嫉妬にかられた彼は、マックスへの見返しとして、ベンヤミン自身がBNDから盗み出した極秘データをMRXへ送ってしまいます。

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その結果、ロシア系ハッカー集団「FR13NDS」のメンバーが殺害され、CLAYは殺人事件の容疑で欧州各国の捜査機関から追われる身になります。

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追い詰められたベンヤミンは、CLAY全員の無実とMRXの正体を暴くためにユーロポールの捜査資料を頼りに暗躍します。彼らがユーロポール本部へトロイの木馬を仕掛けてMRXをおびき寄せる計画に従い、ベンヤミンは仲間の中でも高いハッキング技術を駆使して施設への侵入に成功します。

しかしMRXはベンヤミンの手を読み、逆に彼の姿をウェブカメラで捉えてしまいます。

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同時にCLAYの拠点では仲間のマックス、シュテファン、パウルが何者かに殺されていました。仲間を失ったベンヤミンは自首を決意し、自らがMRXとFR13NDSの情報源であると称してハンネに協力を申し出ます。これが功を奏し、捜査官のハンネ・リンドベルク(トリーヌ・ディルホルム)は彼を証人保護プログラムに登録する約束をします。

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驚きのどんでん返しと伏線

ここまで進んだ物語ですが、実は尋問室で語られていたベンヤミンの証言には巧妙なミスリードが張り巡らされています。ハンネはベンヤミンの証言に不自然な矛盾を感じ、彼の家族歴や証言の細部を徹底的に調べ始めます。その過程で、ベンヤミンの母親が多重人格障害で亡くなっていたことが判明します。これを知ったハンネは「ベンヤミンも多重人格ではないか?」と疑い始めます。

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物語終盤、以下の二重のどんでん返しが明かされます:第一に、ベンヤミンが証言していた「仲間3人」は実は彼自身の別人格だったという構造が一見示唆されます。しかし第二に、その「多重人格」展開もまた計算された偽りであり、実際にはCLAYの仲間は全員実在し生き延びていたのです。つまり、ベンヤミンは意図的に自らの孤独を演出し、仲間の存在を幻のように語ることで、捜査機関から彼らを隠していたのでした。最後に船上でベンヤミンが仲間たち(マックス、シュテファン、パウル、マリ)と合流するシーンが映り、彼らが実在していたことが示唆されます。

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この「観客を騙す騙し絵」のような構成こそ本作最大の魅力です。「マインドファック・ムービー」(劇的な仕掛けで視界を覆すような映画)の名に恥じない巧妙な仕掛けにより、最後まで観る者を翻弄します。また作中では『ファイト・クラブ』を彷彿とさせるサブリミナル演出も多用され、ポスターや劇中映像に何気なく仕込まれた暗示が本筋と見事にリンクしています。例えば、ベンヤミンがハンネと対峙する場面で手の甲に角砂糖を使ったマジックを披露し「人は見たいものしか見ない」と語るシーンは、

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観客に「語り手の言葉を鵜呑みにしてはいけない」という本作のテーマを直感的に示しています。

タイトル『ピエロがお前を嘲笑う』の意味

原題『Who Am I』は「私は誰?」を意味し、多重人格を連想させるミスリードも狙った巧妙なタイトルです。一方で邦題『ピエロがお前を嘲笑う』の由来は、作中に登場するCLAYというグループ名にあります。CLAYとは “Clowns Laughing At You” の略であり(ピエロたちがあなたを嘲笑う)、劇中でもこの台詞が登場します。

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つまり邦題はCLAYの名を直訳的に表現したもので、彼らがまるで仮面を被った道化師のように社会や国家をからかい、既成概念をひっくり返していく姿勢を象徴しています。物語を通じてベンヤミンたちは「社会システムを騙し」「観客を騙し」続け、ラストでまさに“ピエロ”のように嘲笑し去るため、このタイトルが作品全体にふさわしいものとなっています。

主要登場人物とキャラクター

  • ベンヤミン・エンゲル(トム・シリング)
    天才ハッカーで本作の主人公。学校ではいじめられっ子だったが、その分ハッキングで「存在証明」を求める。孤独ゆえに仮想空間でのみ自分を自由に表現できる一方、ハッキングの腕で仲間を守ろうとする覚悟も持つ。物語前半では純粋に仲間思いの青年として描かれますが、終盤のどんでん返しで一転、実は自身を救うために周到な計画を張り巡らせた“策略家”であったことが明かされます。

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  • マックス(エリアス・ムバレク)
    ベンヤミンの高校時代からの友人で、CLAYのリーダー格。野心的で自信家なハッカーとして描かれ、ベンヤミンとは対照的な社交性と大胆さを併せ持ちます。劇中では強烈なリーダーシップを見せつつも、ベンヤミンへの嫉妬や衝動的な行動が悲劇を招くきっかけにもなります。最終的には殺害されてしまうものの、逃走後のラストシーンで実は生存が示唆されるなど、物語後半の解釈に重要な役割を担います。

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  • シュテファン(ヴォータン・ヴィルケ・メーリング)
    CLAYのメンバーの一人で、ネット上の「弱点」をつく諜報技術に長けたハッカー。無謀な挑戦も辞さない性格で、時にグループのバランスを崩す要因ともなります。劇中では慎重派のパウルに対し無鉄砲ぶりが際立ち、最後まで彼の存在が謎めいています。

  • パウル(アントニオ・モノー・Jr)
    ハードウェア寄りの技術を得意とするCLAYのメンバー。比較的冷静沈着でチームのブレーキ役を担うが、運命的な事件に巻き込まれることで物語は急展開を迎えます。

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  • マリ(ハンナー・ヘルツシュプルンク)
    ベンヤミンの中学時代の元同級生で、彼の初恋の相手。大学受験の件で恩人となったベンヤミンとは複雑な関係で、物語後半ではCLAYのメンバーに加わっていたことが示唆されます。彼女の存在はベンヤミンの行動動機に影響を与え、あるいは物語の真相を知る鍵ともなります。

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  • MRX(エム・アール・エックス)
    ダークネットに存在する伝説のハッカー。CLAYの4人が憧れる存在で、作中では遠隔から彼らに指令を出す「黒幕」的役割を果たします。終盤、ユーロポール捜査を餌に姿を現したMRXの正体は、ニューヨーク在住の19歳の少年ショーン・ダナムであることが判明し、FBIに逮捕されます。

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  • ハンネ・リンドベルク(トリーヌ・ディルホルム)
    ユーロポールの捜査官。終始ベンヤミンを追い詰めますが、その正義感と洞察力で物語を牽引する存在です。最終的にベンヤミンの策略に気づきながらも、彼の勝利(逃亡)を許すという複雑な判断を下し、物語に深い余韻を与えます。

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ハッカー文化のリアルな描写とメッセージ

本作はハッキング映画でありながら、単なるエンタメにとどまらずアイデンティティの不安定さ情報操作の恐怖といったテーマを巧みに扱います。たとえば、主人公の手口には物理的調査(ゴミ漁り)とサイバー攻撃(フィッシング)を組み合わせるリアルな手法が登場し、作中で「限りない情報こそ最大の武器」というメッセージが体現されます。これにより、単なるCG映像に頼らず現実味のあるハッキング描写が実現されており、視聴者も「こんな手法で個人情報が抜かれるのか」とリアルな恐怖を感じられます。

映像面でも、仮想世界を地下鉄に見立てた演出や、ハッカーたちが全身白装束でネット上の裏社会に降り立つようなスタイリッシュな描写が随所に光ります。この「サイバー空間視覚化」は物語を盛り上げる大きな要素で、ネットの匿名性と現実世界の影響が直感的に伝わる効果があります。加えて、情報社会に対する不信感や監視される恐怖もテーマとして扱われており、「見えない力に翻弄される現代人」という社会的背景を映し出しています。

本作の魅力と筆者感想

監督バラン・ボー・オダーの作品は、緻密な脚本構成と緊迫感のある演出が光ります。一見すると複雑なストーリーですが、伏線が散りばめられており、観るほどに「ああ、このシーンはこういう意味だったのか!」と楽しめる作りになっています。特に、マインドゲーム的などんでん返しは一度観ただけでは完全に見破れず、SNSや口コミでの考察も盛り上がる要素です。

個人的には、ベンヤミンの「透明人間になりたい」という欲求と、仲間たちを守ろうとする優しさのギャップが非常に印象的でした。彼が最後に下した決断(証人保護プログラムを利用して逃げ切る)は、自身の居場所を見つけるための「究極のハッキング」であり、観客に強い爽快感を与えます。多重人格的トリックやマリの謎などツッコミどころもありますが、それ以上に「誰が味方か分からない」「語り手さえ信用できない」というミステリアスな興奮に満ちています。

以上のように、本作は単なるハッカー映画の枠を超えた心理スリラーとして高く評価できます。伏線回収の見事さ、映像と音楽によるクールな演出、そして複雑で巧みなテーマ性が相まって、最後まで視聴者を引きつけます。ハッキングやクライムサスペンスが好きな映画ファンにはぜひおすすめしたい一作です。

まとめ

  • 主人公ベンヤミンは孤独な天才ハッカーで、初恋の女友達を助けるために犯罪に手を染め、仲間とCLAYを結成。

  • CLAYの連続ハッキング事件で注目を集める中、仲間が次々殺害される事件に巻き込まれる。ベンヤミンは捜査機関に自首し、尋問で物語が進行する。

  • 物語終盤で明かされる二重のどんでん返しが本作の最大の魅力。ベンヤミンの仲間3人が実は彼自身の幻だったかに見せかけつつ、実は全て彼の策略であったことが判明する。

  • 邦題『ピエロがお前を嘲笑う』はグループ名CLAYの言葉(Clowns Laughing At You)から来ており、ハッカーたちが社会の常識を道化師のように嘲笑う意味が込められている。

  • 本作はハッキング描写のリアリティが高く、ゴミ漁り+フィッシング攻撃など現実的な手法で情報戦を描く。サイバー空間のビジュアル演出やテーマ性も優れ、観る者を最後まで飽きさせないサスペンスに仕上がっている。

これらのポイントから、『ピエロがお前を嘲笑う』はストーリー・演出・テーマいずれも高く完成度が評価でき、ハッカー映画ファンやミステリー好きには見逃せない作品です。

ピエロがお前を嘲笑う(字幕版)
警察に出頭した天才ハッカー・ベンヤミン(トム・シリング)。世間を騒がせ殺人事件にまで関与を疑われ国際指名手配をされた。そのベンヤミンが自ら語りだした――学校では苛められ冴えないベンヤミン。ピザ屋のバイトでも馬鹿にされ、想いを寄せているマリ(...
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